人人

一日中上の鈴本演芸場にて寄席を見る。

寄席に行くのは二度目である。

正直落語を見に行くまで落語って何が面白いんだろうかと思っていた。知っている同じ話を何度も聞くっていう面白さってなんなんだろうかと。

でも行ってみてわかったんだけどあれ面白いね。DVDとかで見ても面白いのかどうかはわからないけど、直接見ると面白い。生で見るってのは何でも面白いもんかも知れないけど、それを踏まえても落語面白いわ。

まず一人で20~30分程度その空間を支配しつつ話し続けて笑いを取るという行為が既にすごい。そんでもって客の反応を見ながら話を決めたり変えたり、そういう動きが見られてとても面白い。そして本格的に話を始める前にする枕と呼ばれる簡単な挨拶や導入のような小話、そこから落語に入っていく流れも面白い。

そんでもって落語のお話自体。たしかに古典落語だと知っている話だったりする。僕はほぼ知らないので目黒のサンマとか酢豆腐、時蕎麦くらいしかわからないのだけど、そういう既に聞いたことのある話でも、完全に展開や落ちの読める知らない話でも、面白いのである。

何故面白いのかというと、まず同じ話であっても話し手によって話の運びや内容などに若干の違いがあるからである。当然だけどね。

その違いというのはだいたい同じ曲をいろんな人がカバーやらミックスやらをしていて、その違いって面白いよねと思う人ならわかるのではないでしょうか。それか翻訳の違いが面白いとか。いやそうでなくても面白いと思う感覚はいくらでもあるでしょう。

あと演技。落語というのはほとんど登場人物が複数である。僕は登場人物が一人の落語は知りませぬ。

それが多くの場合何度も会話をするんですが、その時の演技、分けて言うなら口調、言葉遣い、身振り、目線、態度、まとめて言えば雰囲気なんてものとても面白い。自分が演技をほんの少しやったからなおさら面白いのかもしれませんが、面白い。今までテレビなどで落語を見たことはあったけど、あんなん意味ないわ。

あれは生で見たことがあって好きな人が見るものであって、あれで落語を知ってもそれはたぶん落語知ったことにならないわ、とかそんな感じ。

昼の12時半から休憩挟んで8時半まで(だったかな?)一日落語を見ていた、そんな日。

昼酒飲んで休憩中に酒飲んで夜は蕎麦と夜鳴き蕎麦食いながら酒飲んで。

上野のあのあたりの町、客引きだのなんだのの雰囲気が新宿やらすすきのやら錦糸町やらいろいろ見てきたけど一番嫌いだ。

変に小綺麗で統制された下品さ、みたいな。

上野は好きだけどね。あの通りなんていう地名かしら。