奇々

怪々。あなたは誰だ。

昔から不可思議な経験や恐怖体験には事欠かず、

怖い話を始めれば尽きないことで有名なわたくしです。

別にそんなことないけど。

おばけや幽霊だとかを完全に肯定しているわけでもないし、

そんなもんいるはずねぇよ、なんて否定している立場でもない。

でも変な経験や体験があるんだからそれはそのままあったもので、

それがおばけとか幽霊とかだったら面白いよね、怖いよね、興味深いよね、

とか、楽しいからそれでいいのだよ、というスタンス。たぶん。

小さい頃は掃除機と話ができたらしいし、

小学校では誰もいないはずの教室から手を振られ、

高校の時には自殺の名所の滝に行ってひどい目に遭ったり、

一人で自転車乗っているのに「ニケツ駄目なんだ~」と子供に言われ、

大学の時には誰もいない廃墟から「お~い」と呼ばれたり、

他人には聞こえない足音が聞こえまくったり、

ハイヒールの音が自宅前で止まったのでドアを開けたら誰もいなかったり、

締め切った部屋なのに夜中に魔よけの鈴がけたたましく鳴りまくったり、

飾ったシーサーが一日で破壊されたり、一人なのに風呂に閉じ込められたり、

首のねじれ切った自分と会話したりとか、

まぁそんな感じの適当な人間です。

夢かもしれないし頭おかしいのかもしれないし、

勘違いかもしれないし偶然で片付けてもいいし。

そんで今日も、こんな感じの事がありました。

此処まで書いておいてなんなんですが、

怖い話だと思うので嫌いな人は読まない方が良いかもしれないです。

ではでは。

僕は現在映画館で映写技師のバイトをしています。

映写技師というのは映画館の上の部屋で映写機を回している人です。

今は四スクリーンを一人ぼっちで担当していて、

一つのスクリーンにつき映写機二台なので八台を見守っています。

一つの部屋の両方の壁から二つのスクリーンに向けて上映しているので、

一つの部屋には映写機が四台で、映写室自体は5階と7階にあります。

簡単に言うと8時間の間、

一人で5階と7回を行ったり来たりしていますというだけの説明です。

で、この部屋が以前からどうもよろしくない。実によろしくない。

何か作業していたり、携帯を弄ったりしている時など、周辺視野あたりにドア見えているとドアが動いて人影が入ってきたような気がして顔を挙げると誰もいないし、そもそもドアなんか動いていない、ということが前々から非常に良くあります。

さらに、映写室は映写機の動く音と、劇場で流れている映画の音を部屋でも流しているのでかなりうるさい雑音だらけなんですが、時々明確に「おい」と呼ばれることもある。知らないおっさんの声で。その時に上映している映画はだいたい既に見ていて内容も把握しているし、そんな音があるようなタイミングでもないんですが、まぁ映画の音か聞き間違いだろうなという事にしている。

さらに、二つの部屋を行き来するとは言っても基本的には7階のほうに居るように出来ていて、7階の方の映写室には5階の映写機が正常に動いているかどうか確認するためにのモニターが設置されており、5階の映写機の一部、フィルム可動部がアップになっている。いるんですが、その映像にフィルム部分を触る手が映ったことがある。自分がいる時間には自分しかいないはずなので、アレ?と思いながら下の部屋に向かっても誰もいない。

とかそんな経験をしていて、

以前からどうもよろしくないなぁと思っていました。

でもまぁどれも勘違いだのなんだので解決できたんですが、

今日のはそんなのでは説明できないほど明確でした。

本当にスタンド攻撃かもしれない。

今日もいつものように一人ぼっちで映写機を見守りつつ、

適当に部屋の中をふらふらのらのらしていた時、

耳元で「あ、あぅあぁ」みたいな声がしてビクッとした瞬間に、

突然、自分のいる部屋の映写機四台が全部止まりました。

見事に。全部。同時に。

当然上映中だしお客さんもいるし、

トラブルなので解決しようと思います。

全部一斉に止まって雑音の世界からいきなり静かになった部屋で、

不気味に思いながらもとりあえず映写機の映写スタートボタンを押しなおす。

あれ、押せない。

ボタンを押すことができない。

というかそもそも押せるようにできていないような、そういう感触。

当たり前の話ですが、普段は押せます。

さすがにどうしようもないので電話で劇場に伝えようとしたら受話器が上がらない。これもそもそも受話器が電話にくっ付いていて取れるようにすらできていないような感触。

このあたりでかなりの異常さに気付く。怖い。焦る。

電話も机から持ち上がらない。椅子も動かせない。

ドアも開かない。壁にドアの部が生えているだけ。

映写機にかけてあるあの薄いフィルムすらそのままで停止。

触っても全く微動だにしない。

充電機においてある自分の携帯も充電機から取れない。

充電機も机から持ち上げられない。

このあたりでちょっと冷静になってテンションが上がる。

冷静になって周りを見回すと、映写機は止まっているけど映像は映ったまま。

通常こんなことはあり得ません。映写機の光は強すぎるので、フィルムが動いていない状態で一点に当たってしまうとフィルムが一瞬で焦げて穴があいてしまうからです。

それが今は止まったまま、スクリーンに画が映っている。

これで確信。時間止まってるわこれ、と。

この部屋の中で動いているのは自分自身だけ。

他のものは止まっていて、何一つとして干渉することができない。

途中から全く怖くなくなった。何も起きないし。

むしろ諦めたのかなんなのか。どうせ何もできないし。

一人で「うわーなんだこれうわー」とか言いながら映写室の中うろうろ。

そこらを触ってみるものの何も変化なし。

此処で僕は死ぬのかな?そもそもお腹は空くのかな?

この止められた時間のなかで永遠に生きるのかな?

なんて適当な事を考えていたら、部屋に「ガンッ!!」というドラム缶を鉄パイプで殴ったような物凄く大きな金属音らしき音が響いて、映写機が全部動きはじめました。

たぶん止まってからこの間一分くらいだと思う。

また元通り雑音だらけの部屋。

電話も持ち上がる。劇場に電話。

「何か問題ありましたか?」「? いえ別にないですよ、なんでですか?」

とか言われる。だろうなと思いつつ「いえなんでもないです」と電話を切る。

そのあとは一人で椅子に座ってポケーっとしたり、

不思議―不思議―と適当に呟いたり、

ジョセフ見ているな!とかザ・ワールド!とか新手のスタンド使いか!とか、

一通りジョジョごっこをこなしていつも通りバイトを終え帰宅いたしました。

ふッしぎ―ふッしぎ―

全然信じなくても良いけども実話なのだー。

なんか説明が難しくてそもそも状況が分かってもらえていないかもしれませんがー。

日に日に文書が下手になっている気がする―。

あべべ。あなべべ。

夜中に書いていたけどこの時間に更新してしまったので、

文中の「今日」というのは「昨日」のことですらー。ららら。

信じるか信じないかはー。れれれ。

エイプリルフールにゃまだ早いー。るるる

あんれ、おやすみなんし。