狐の嫁入り

大学からの帰り。ちょうどいい感じに雲のある晴れた空。

いい天気だなぁ、と思っていたら突然雨が降ってきた。

お、狐の嫁入りだな、なんて考えながらループ道路を歩いていた。

そんなのんびりとした時間を過ごしていると、

「ゴスッ!!」とかなりの衝撃が腰に。いきなり。

へ?と思った次の瞬間には、

視界の横から登場した原チャが、目の前で横転しました。

何こいつ?こいつがぶつかったの?なんで?けっこう痛いし。

鬱陶しいなぁ、と感じながらも、

悪者ながら、多少の人間らしさは持ち合わせているので、

心配しながら近づきました。

幸い大した怪我もないようで、

原チャの彼も謝りながら顔をあげました。

二人顔を見合せてしばし沈黙……

ん?             え?

あっ!!!

ほんとこんな感じ、ふたりほぼ同時。

なんと小学校の頃の同級生でした。4、5、6年生の時の。

中学はクラス違ったし、高校は別だったから、

大学が同じとはお互い知らなかったのです。

村上和弘。ほんとまともに話したのは6、7年ぶりくらい。

「おーすげー!!ひさしぶりー!

 沖縄いたんだっ!!すげーっ!!」

などと二人で一通り騒いだあと、

この偶然と事故っぷりにあほみたいに大爆笑しながら我が家へ。

今まで二時間くらい談笑してました。

もう思い出話に花が咲く咲く!

彼は四年生で転校してきたんだけど、その時の話。

その頃は結構彼は太っていて…まぁ今日も太っていたけど。

で、転校してきたクラスで、

緊張しながら初めての自己紹介をしようとした瞬間。

「うわー、すげ~デブ!きも。」という心無い言葉が教室に響きました。

村上号泣。

渡辺先生困惑。

その後激怒。

当然です。

ひどすぎます。

これからクラスメートになるという

名前も知らない相手に投げつけるにしてはあまりに不適切な言葉。

まぁ小学生は正直だから仕方ないけど。

言ったのはきっと紫ジャージの人です。

あの時はごめんね。

なんて悲しい思い出もありましたが、

楽しい思い出の話もたくさんありました。

体育の後、物凄い勢いで蛇口から水を飲んでいる彼の後ろから、

紫の方が驚かせようと「わっ!!」と言いながら、背中を押した事。

その後、紫の方は母親とともに菓子折りを持って村上家へ行くことに。

村上君は笑って許してくれました。前歯の欠けた笑顔で…。

とか、他には

ひたすら遠くに行ってみたり (二人で)

迷子になったり (二人で)

かくれんぼに飽きて突然帰ったり (紫が)

帰ったと知らず何時間も探したり (村上が)

落とし穴に落とされたり (村上が)

川に自転車ごと落ちたり (村上が)

イタズラしてもいないのに怒られたり (村上が)

給食奪われたり (村上が)

と楽しい思い出ばかりでした。

そんな感じで今日はとても懐かしくて、いい感じの雰囲気。

今度飲む約束をして彼は帰宅。

今日はとても良い一日でした。

嘘です。嘘。

もう全部嘘。

まず、村上なんていう人は知りません。

事故にも遭ってません。

人の前歯を折ったことも……たぶんないです。

どっからが嘘かというと、

『そんなのんびりした~~』からすでに嘘です。

デブの友達がいたら、という仮定のお話。

ただただ暇だったのです。駄文申し訳ありません。

あ、一か所だけ本当です。

四年生の時の担任は渡辺先生でした。

               ありがとうございました。