憧憬

時が経つのは早い。

その実、時間などというものなく、あるにしても速度は一定。

もしくは、川の流れの様なものだと考えると、

流れているのは時間ではなく、周りの物質。

それが川の水と、周りの岩などの関係。

時間とされるものが静止していなければ、

変化し続けている自分にとってそれは認識できないものになる。

否、時間とは概念なのだからなんの関係も無い。

いや、この話題自体何の意味も無い。

最初に戻って、

時間が経つのが早い。

上記の意味で無く。

気がつくのが遅いという意味で、早い。

遠い時間を思い出して、

大幅な時間の経過を認識するという意味で、早い。

まだなにもしていない。

いつか、日記で宣言したこともまだ何もしていない。

バイトもしていない。免許も取っていない。

単位も取っていない。なにも進んでいない。

何も考えていない。

何もではない。それは言い訳。

その「考えている」は、

およそ60億人誰しもが、

おこなっているであろう意味での「考えている」。

つまり、ほとんどなにも考えていない。

論外。

そんななか、振り返ってみると、

振り返る地点によっては、時間が経つのが早く感じる。

それが数年前、十数年前にもなるととても早い。

何も変わっていないし、確実に変わっている。

幼稚園、小学校、中学校、高校、予備校、大学。

今日も沖縄にいるし、部屋にいる。

スマッシュブラザーズもしたし、タコライスも食べた。

明日も沖縄のこの部屋で目覚めるだろうし、

まだ学校は本格的には始まらない。

もう目線の高さはほぼ変わらないだろうし、

この脇腹についたお肉も、そんなに急激には変化しない。

きっとまだ当分は、このぬるさからでない。

数か月前と同じことを言っているのが、何よりの証拠。

毎日そんなに変わらない。

でも、

今の腰くらいの目線で生きていたこともあったし、

メガネが要らないくらいの視力だったこともあった。

確実に変わっている。

もうお酒を隠れて飲んだりはしない。

もう土曜日に、午前で終わる授業ではしゃぐことはないし、

必死で自転車をこいで競争なんてしない。

虫カゴ持って、林に走って行ったりしない。

給食のあまりを取り合いもしないし、席替えで一喜一憂もしない。

秘密基地も作らない。

かくれんぼも、鬼ごっこもほとんどしない。

リコーダーなんて鞄にささっていない。

誰かと待ち合わせて登校もしない。

制服をくずして着たりしない。

グラウンドには滅多に行かない。体育館にも行かない。

毎日昼休みにサッカーなんてしない。バスケもしない。

廊下も走らない。今となっては走っていた理由すら分からない。

小さい頃は、

前ばかり見て走っていたから、フンを踏んだ。

今は下ばかり見て歩いているからフンは踏まない。

誰かさんの落し物まで見つける始末。

いつからフンを踏まなくなったのか。

フン自体が減ったんじゃ?なんて見解もあった。面白い。

空を飛びたいと思っても、

それはもう「飛びたい!」ではなくて、「飛べたらいいな」。

飛べないとわかっているから。

自分など無力だとわかっているし、意味の無さもわかっている。

嫌いなものも許容できる。面倒なことも受けられる。

常識も知っている。マナーも守れる。

それらに疑問も感じられる。簡単に破れる。

不器用じゃない。器用じゃない。

昔よりも口は良くなった。

昔よりも頭は悪くなった。

憧憬。