越冬

前に書いたかどうか忘れましたが、札幌では少し前に蛾が大量発生しました。

マイマイガとかいうやつかな?違うかもしれないけど。

家では電気付けて窓開けたりしていたもんだからもう蛾入りまくりでして、その時なんと洗濯物に卵を産み付けられたりしておりました。その時初めて知ったんだけどあの蛾らの卵ってめっちゃ硬いのね。爪で叩くとカチカチ音がするくらい。周囲にふさふさがちょっと着いてるんだけど卵自体は硬い。けっこうまとまって産み付けられていて、それががっちり張り付く仕様のようです。

蛾の卵だ、と認識して見てもけっこう気持ち悪い。

干してたバスタオルに産み付けられていることに気付かず、お風呂上がりに体拭きながら気付いたときはちょっと声をあげそうになるくらい気持ち悪い。そのままバスタオルを脱衣所に放置してびしょ濡れ裸で別のバスタオル取りに行ったからね。

で、問題はその放置されたバスタオル。

他の洗濯物は全部確認して、産み付けられていた卵は全部剥がして窓から放ったんだけど、バスタオルだけは何となく放置しっぱなしになっている。バスタオルに卵ついていたのはもう2週間ほど前だったと思うんだけど、今も変わらず脱衣所ではバスタオルが寝ている。あの毒のある毛の生えた幼虫が大量に生まれたら嫌だな、とは思ったんだけどなんとなく放置。生まれてから考えればいいやっていう方針。問題を先延ばしに先延ばしにして、取り返しがつかなくなってから悩もうと言うライフスタイル。後になって大きな面倒になることが分かり切っていながら、今目の前にある小さな面倒を避けたいって言う典型的なダメ人間の思考。

そういう部分もありつつ、数日放置しているうちになんとなく適当な愛着も湧き、どういう風にどんな蛾の幼虫が生まれるのかとかそういうのも気になって来て、生まれてくるのを見てみようと思い始めました。最初は白かった卵も茶色に変色。いつ生まれるのかなーいつ生まれるのかなーなんてちょいちょい観察していて、最近あることに気付きました。

こいつら越冬するんじゃね?

そうだよね、もう大量発生は終わっていて、そして気温はこれから下がるのみ。今生まれても死ぬだけだから、ようするにこいつらは卵の状態で冬を越して、来年の春過ぎくらいに生まれて夏に飛び回るとかそういうことじゃないですかね?とすると、僕のバスタオルは来年の雪解けまで脱衣所にいるのかな?どうなのかな?ぬーん。

たぶん彼らは害虫だからまぁ処分しても良いのかなと思ってみたり、人間に害を与えるから害虫ってしちゃうのってなんていうか傲慢だよなぁとか適当な考え事をしてみたり。その中でも「不快害虫」って言葉ほんとにひどい言葉だよね。何か人間の食料を食べてダメにしてしまうとか、刺したりなんだりで身体的なダメージを与えてくるとかそういうんじゃなくて、「見た目や動きが気分を害するから」って理由で害虫していされてるわけですよ。可愛そう。どれくらいの割合の人が「不快」と思ったら不快害虫になるのかな?これから先虫自体が気持ち悪いって人が増えると、もう虫すべてが不快害虫に認定されたりするのかな。

小さい頃は別に虫なんて平気だったのに、大きくなるとなんとなく気持ち悪く感じてしまう現象ってなんなのかな。名前とかある現象だったりしないのかな。でも蛾は小さいころから割りと気持ち悪かったか。

こないだ部屋に蛾が飛びこんできて、僕の手に腕にとまりました。

そこで瞬間的に「うわッ!」と思いはしたものの、体を「うわッ!」と動かすその前に「俺はほんとにこれが気持ち悪いのかな?」という一瞬の逡巡あり。造形が、顔が、毛のモサモサパサパサ感が、鱗粉が、気持ち悪い。それは何故。実は気持ち悪くないんじゃない?そういう先入観じゃない?毒があるからかな?でもこいつ毒あるの?よく知らない。知らないのに嫌ってしまっている。ごめん。毒蛾って呼ばれている種類の中で、実は毒があるのは幼虫だけで成虫には毒のない奴がいるってのもなんかで読んだ。こいつはどうなのかな?でもやっぱ気持ち悪いってのは危険に感じているからってわけでもないから関係ないか。でもでもでもでも。

なんて考えてみたんだけど、その考えている最中も論理的ではないながらやっぱり気持ち悪いわけで、左手がムズムズザワザワして限界を迎えたので「ぅぃえ~」みたいな言葉になってない音を発しながら窓開けて逃がしました。

結局何が言いたかったんだったかな。忘れました。